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RAGとは?社内文書を使うAIの仕組みと、回答を確かめるポイント

社内マニュアルをもとに答えるAIでは、質問に関係する資料を探し、その内容を使って回答を作る「RAG」という方法が使われます。検索と文章生成がどうつながるのか、資料を渡しても誤りが残るのはなぜかを、社内の備品貸出ルールを例に解説します。

RAGは、資料を探してから答える仕組み

RAGはRetrieval-Augmented Generationの略で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。質問に関連する資料を検索し、見つかった部分を生成AIへ渡して、回答の材料にする方法です。

MicrosoftのRAGの基礎解説では、データを検索可能な形に整え、質問に関係する情報を取り出し、質問と一緒にAIへ渡す流れが示されています。ここでは、この説明に基づいて基本的な構成を扱います。

資料を回答時に参照させることと、モデルそのものを追加で学習させることは異なります。 RAGは、対象の資料をモデルにあらかじめ学習させなくても利用できる方法です。ただし、この仕組みの説明から、入力データの保存や学習利用に関するサービスの契約条件まで判断することはできません。実際に使う製品のデータ取り扱いは別に確認する必要があります。

質問から回答までに何が起きるか

たとえば「会議用のタブレットを翌日まで借りられるか」という質問に、AIが社内の備品貸出マニュアルを参照して答える場合を考えてみましょう。以下は説明用の仮例で、実際の社内制度や検証結果ではありません。

  1. 資料を準備する:マニュアルを検索しやすい単位に分け、文書名や元の場所も記録する。
  2. 関連箇所を探す:質問に対して、貸出期間や返却方法について書かれた部分を取り出す。
  3. 回答を作る:検索した内容を質問と一緒にAIへ渡し、説明文を生成する。
  4. 根拠を確認する:利用者が元の文書を開き、条件や例外が回答と一致するかを確かめる。

このうち最後の確認は、本記事で提案する利用時の手順です。出典を表示できる構成であっても、表示された文書が本当に回答を支えているかは別に見る必要があります。

資料を短く分ける処理は「チャンク分割」と呼ばれます。たとえば「貸出期間」の段落だけを切り出し、次の段落にある例外を渡さなければ、回答に必要な条件が欠けるかもしれません。どこで分けるかによって、ルールと例外の関係が伝わらなくなる場合があるのです。

誤りは、検索と文章生成に分けて調べる

回答が間違っていたとき、AIモデルだけを変えても原因に届かない場合があります。正しい資料を探せなかったのか、見つけた資料の説明を取り違えたのかで、確認する場所が変わるためです。

MicrosoftのAzure AI SearchのRAG解説も、質問の理解、資料の準備、入力できる量、アクセス制御などを課題として挙げています。これを備品貸出の仮例に当てはめると、次のように整理できます。

表が見切れる場合は横にスクロールできます

誤りは、検索と文章生成に分けて調べるの表

起きたこと

確認する場所

タブレットの質問に、会議室予約の資料が使われた

検索語や、質問に関連する資料の選び方。

改定前の貸出期間で答えた

元文書の版と、検索対象へ更新が反映された時点。

例外条件があるのに、誰でも借りられると答えた

AIに渡した範囲と、回答が省略した条件。

文書に答えがないのに、具体的な期限を示した

情報不足を返す条件と、その動作の確認。

この表は障害を診断した結果ではなく、原因を探すための整理例です。質問、参照箇所、回答を一組で見られると、どの段階を直すべきか話し合いやすくなります。

文書の更新と閲覧権限も回答の条件になる

社内のルールが変わったとき、元のファイルを差し替えただけで検索対象も更新されるかは、システムの構成によります。更新する担当者、反映のタイミング、古い版を除く方法を確認しておくと、同じ質問に古い回答が戻る原因を調べやすくなります。

もう一つの条件が、誰の権限で、どの文書を検索するかです。Microsoftの同解説は、利用者やAIが許可された内容だけを取得する必要性を挙げています。元の保管場所では一部の担当者しか読めない文書が、AIへの質問を通じて誰にでも見える構成は避けなければなりません。

導入時には、閲覧を許可された人と、許可されていない人の両方の立場で確かめることが考えられます。回答本文だけでなく、文書名や出典リンクに本来見せられない情報が含まれないかも確認対象になります。

また、文書に紛れた指示の影響については、プロンプトインジェクションの基礎で説明しています。資料を検索して使うことが、その資料の安全性を保証するわけではありません。

まとめ

RAGを検討するときは、答えの自然さに加えて、次の点を見てみましょう。

  • 検索と生成を分けて考える:必要な資料を見つける段階と、それを説明する段階がある。
  • 回答を元の文書と比べる:出典が付いていても、条件や例外まで一致しているかを確認する。
  • 資料の運用を含める:更新、古い版の扱い、閲覧権限も回答の品質に関わる。

小さく試すなら、内容と権限を把握できる資料群を選び、答えがある質問と、資料だけでは答えられない質問の両方を用意すると、運用上の課題が見えやすくなります。

検証する業務や確認方法を決める際は、AI導入は何から始めるかを参照してください。手元の資料を直接渡して文章整理を頼む場面は、Claudeへの指示の伝え方で扱っています。